卒一集合研修「患者体験」を行いました。
|看護学生室
6月某日、1年目看護師の研修の一環で「患者体験」を行いました。
身体の不自由さや身体拘束による苦痛など、患者さんの気持ちを体験し、「患者の立場に立った看護を行うにはどうしたら良いか」を考えます。体験項目は次の3つです。
①老人体験(重しや白内障メガネなど)
②車椅子生活体験(安全ベルト使用)
③抑制体験(つなぎやミトンなど装着)
車椅子生活体験の様子↓
病棟内を車椅子にて自走し、トイレに入ったり自販機で飲み物を買ってみるなどの体験をしました。
体験者の感想:「自動販売機の1番上の飲み物が購入できず選択の制限がされて嫌だった」「認知力の低い患者さんが手で車椅子をこぐのが難しい理由がわかった」
抑制体験の様子↓
つなぎ服(脱衣やおむつはずしを制限するため)を着て、ミトン(点滴・経管栄養等のチューブを抜かないように、又は皮膚をかきむしらないように)を装着し、ベッドに両腕をひも等で縛り(転落や徘徊防止のため)、30分間拘束された状態のままでいる体験をしました。
患者として食事介助される側の体験も。
体験者の感想:「思っていた以上に不自由で、30分という時間がとても長く感じた。布団をかける、ナースコールを押すという普段なら何も考えずにできることにも時間がかかり窮屈に感じた。」「身体拘束は患者さんを守るために時には必要なことではあるけど、孤独や不安を感じさせるものだと体験し分かった」
体験終了後、皆で感想を交流し、今後の看護にどういかしていくか話し合いました。
「患者さんは身体が重く感じる中でリハビリを頑張っていることが分かったので、きちんとできていることなどを伝えて自己肯定感が高くなるような声かけをしたい」「老人体験で学んだ不安や恐怖を忘れずに患者さんが安心して生活できる環境整備をおこなっていきたい」などの感想が聞かれました。半日の研修、お疲れ様でした!
【身体拘束ゼロを目指して!当院の取り組み】
看護職は、身体拘束は基本的人権を侵害するものとして「してはいけない」と思いつつも「患者の生命と安全を守るため」 「人員不足のため」「緊急やむを得ない状況」などという理由で、ジレンマに悩み苦しみながら 身体拘束を行なっている現状もあります。(日本看護倫理学会「身体拘束予防ガイドライン 2015.6」より引用)
当院の回復期リハビリテーション病棟では、2018年度の病棟目標を「身体拘束ゼロ」とし、認知症をもつ方の安全と尊厳を守るケアを実践してきました。この取り組みがスタッフの意識改革につながり、認知症をもつ方を制止するケアから見守るケアに変化しました。以前は当たり前のように使用していた安全ベルトやミトン、抑制帯などが激減。2018年当初は身体拘束のある患者さんは常時十数人おり、使用も長期間に及んでいましたが、使用期間、人数とも大幅に減少し、2020年11月には身体拘束0を実現しました。現在も病棟目標として「身体拘束ゼロ」を掲げています。
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